決勝ともなると、国歌斉唱も気合いが入ります。
サポーターの数では、やはり圧倒的にオランダが多いです。
私の後ろにも、いい歳してライオンのコスプレしたオヤジたちがいます。
(ライオンはオランダ王家の紋章です。尻尾だけ付けてる人も多数いました)
世界中が注目する四年の一度の、特別な舞台。
緊張が高まる中、キックオフです!
そして、試合の結果は、みなさんご存じの通り。
延長の末、イニエスタのゴールでスペインが初優勝を飾りました。
でも個人的には、3度目の正直でオランダに勝ってほしかったです…。
大勢のオランダサポーターが祝杯をあげる光景を見たかった。
私がこの日のオランダに感じたのは、準決勝のドイツと同じ。
欧州王者「無敵艦隊スペイン」に、恐れを抱いているようでした。
リスペクト、いや、畏怖の念と言ってもいいかもしれません。
普段のオランダと違う、自信の無いオランダがそこにいました。
パスを回せない、走れない、シュートを決められない…。
その様子を見て、98年フランス大会の準決勝を思い出しました。
マルセイユで、オランダがブラジルを相手に戦った試合です。
私はこの試合が、初めてのワールドカップ生観戦でした。
試合はオランダが先制し、ブラジルを圧倒します。
ところが前半終了間際に、ロナウドが泥棒のようなゴールを決めました。
すると後半からオランダはすっかり自信をなくし、PKの末、敗退します。
「やっぱりブラジルには勝てないさ…」という声が聞こえるようでした。
昔は、スペインも同じでしたよね。
グループリーグまで絶好調でくるのに、トーナメントでコロッと負ける。
それがヨーロッパ選手権で優勝してから、自信がついたのでしょう。
決勝のスペインは、普段とほぼ変わらないパフォーマンスを見せていました。
たしかに、この日の審判はカードを乱発するし、誤審もあったりして
ファールの多いオランダにはやりにくかったことでしょう。
それを差し引いても、オランダは持ってる力の半分も出せませんでした。
選手たちは、さぞかし悔しかったに違いありません。
それでもオランダチームは、表彰台から降りてきたスペインチームを
花道をつくって称えました。この試合で一番美しいシーンでしたね、
そしてスペインの選手がトロフィーを持ってグラウンドを一周し、
歓喜のスペインサポーターと他の観客が拍手でそれを迎えます。
やがて選手が消え、観客が席を立ち、スタジアムから人気が無くなると、
ガランとした巨大な空間に、祭りの後の寂しさを感じずにはいられません。
ふと後ろを振り返ると、オランダのオヤジ4人衆が力なく座っていました。
78年の準優勝から、32年間も待ち続けた彼らの落胆はどれほどでしょう…。
かける言葉が見つからず、無言で握手をしました。彼らもただ頷くだけでした。
スタジアムの外では、オランダサポーターのバスを見かけました。
きっと陸路で、はるばるオランダから来たはずです。
負けて帰る道のりは、来た時より遠く感じることでしょうね。
空港のレストランでは、オランダサポーターがボーッとした様子で
試合の映像に見入ってました。その胸中に去来するものは…。

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