2010年7月13日火曜日

南アフリカ日誌「決勝でも自分を貫いたスペイン、メンタルで負けたオランダ」

ボルテージが高まる中、いよいよ両国の選手が入場。
決勝ともなると、国歌斉唱も気合いが入ります。

サポーターの数では、やはり圧倒的にオランダが多いです。
私の後ろにも、いい歳してライオンのコスプレしたオヤジたちがいます。
(ライオンはオランダ王家の紋章です。尻尾だけ付けてる人も多数いました)

世界中が注目する四年の一度の、特別な舞台。
緊張が高まる中、キックオフです!

そして、試合の結果は、みなさんご存じの通り。
延長の末、イニエスタのゴールでスペインが初優勝を飾りました。

でも個人的には、3度目の正直でオランダに勝ってほしかったです…。
大勢のオランダサポーターが祝杯をあげる光景を見たかった。

私がこの日のオランダに感じたのは、準決勝のドイツと同じ。
欧州王者「無敵艦隊スペイン」に、恐れを抱いているようでした。
リスペクト、いや、畏怖の念と言ってもいいかもしれません。

普段のオランダと違う、自信の無いオランダがそこにいました。
パスを回せない、走れない、シュートを決められない…。

その様子を見て、98年フランス大会の準決勝を思い出しました。
マルセイユで、オランダがブラジルを相手に戦った試合です。
私はこの試合が、初めてのワールドカップ生観戦でした。

試合はオランダが先制し、ブラジルを圧倒します。
ところが前半終了間際に、ロナウドが泥棒のようなゴールを決めました。
すると後半からオランダはすっかり自信をなくし、PKの末、敗退します。
「やっぱりブラジルには勝てないさ…」という声が聞こえるようでした。

昔は、スペインも同じでしたよね。
グループリーグまで絶好調でくるのに、トーナメントでコロッと負ける。
それがヨーロッパ選手権で優勝してから、自信がついたのでしょう。
決勝のスペインは、普段とほぼ変わらないパフォーマンスを見せていました。

たしかに、この日の審判はカードを乱発するし、誤審もあったりして
ファールの多いオランダにはやりにくかったことでしょう。
それを差し引いても、オランダは持ってる力の半分も出せませんでした。
選手たちは、さぞかし悔しかったに違いありません。

それでもオランダチームは、表彰台から降りてきたスペインチームを
花道をつくって称えました。この試合で一番美しいシーンでしたね、

そしてスペインの選手がトロフィーを持ってグラウンドを一周し、
歓喜のスペインサポーターと他の観客が拍手でそれを迎えます。

やがて選手が消え、観客が席を立ち、スタジアムから人気が無くなると、
ガランとした巨大な空間に、祭りの後の寂しさを感じずにはいられません。

ふと後ろを振り返ると、オランダのオヤジ4人衆が力なく座っていました。
78年の準優勝から、32年間も待ち続けた彼らの落胆はどれほどでしょう…。
かける言葉が見つからず、無言で握手をしました。彼らもただ頷くだけでした。

スタジアムの外では、オランダサポーターのバスを見かけました。
きっと陸路で、はるばるオランダから来たはずです。
負けて帰る道のりは、来た時より遠く感じることでしょうね。

空港のレストランでは、オランダサポーターがボーッとした様子で
試合の映像に見入ってました。その胸中に去来するものは…。





















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